変額保険は魅力的な資産形成手段として注目される一方で、運用リスクや商品性の複雑さから様々な問題が発生しています。本記事では、変額保険が抱える5つの重大な問題点と、失敗しないための具体的な対策について、実例を交えながら専門家の視点で解説します。
変額保険で問題が発生する背景
変額保険は1980年代後半のバブル期に、生命保険会社が相続税対策商品として積極的に販売を開始した商品です。この保険商品は、生命保険と投資信託を組み合わせた複雑な仕組みを持ち、契約者が運用リスクを負う特徴があります。
問題発生の主な要因
商品性の複雑さ
変額保険は特別勘定での運用実績により満期保険金や解約返戻金が変動する仕組みで、一般の定額保険と比べて商品性が複雑です。そのため、契約者が商品内容を十分理解しないまま加入するケースが多く発生しています。
説明不足による誤認識
保険会社や販売員による商品説明が不十分なまま契約が締結されることがあり、「元本保証だと思っていた」「資産形成が目的で加入したが思ったほど増えなかった」といった誤認識による問題が発生しています。
運用リスクの存在
払い込んだ保険料の一部は特別勘定で運用されるため、市場環境の変化により元本割れのリスクがあります。特に、バブル経済崩壊後の株価下落により、多くの契約者が運用損失を被る事態となりました。
このような商品性の複雑さ、説明不足、運用リスクという要因が、変額保険を巡る様々な問題が発生する背景となっています。
変額保険の重大な問題点を徹底解説
変額保険は資産形成と保障を兼ね備えた商品として注目されていますが、その複雑な商品性と運用リスクから、様々な問題が指摘されています。ここでは、変額保険が抱える5つの重大な問題点について、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
元本割れリスクによる損失問題
変額保険は保険料の一部を株式や債券、投資信託等で運用する商品であり、運用実績によっては満期保険金や解約返戻金が払込保険料総額を下回るリスクがあります。特に、満期や解約のタイミングで市場環境が悪化している場合、大きな損失につながる可能性があります。
商品説明不足による誤認識の問題
変額保険は商品性が複雑なため、契約者が内容を十分理解しないまま加入するケースがあります。その結果「運用成果が保証されていると思っていた」「元本は最低でも保証されると誤解していた」といった誤認識による問題が頻発しています。保険会社には説明義務がありますが、説明不足による誤認識は後を絶ちません。
解約時の手数料負担問題
契約から10年以内の解約時には解約控除が発生します。特に早期解約の場合は解約控除額が大きくなり、払い戻し金がまったくない場合もあります。また、保険関係費用や運用関係費用など、様々な手数料が発生するため、一般的な投資商品と比べてコストが高くなります。
運用実績による保障額変動の問題
変額保険は運用実績により保険金額が変動するため、必要な時期に十分な保障が得られないリスクがあります。死亡保険金は基本保険金額が最低保証されていますが、満期保険金や解約返戻金には最低保証がないため、市場環境の悪化により大きく目減りする可能性があります。
契約者保護の制度的問題
生命保険会社が破綻した場合、保険契約者保護機構による保護はありますが、変額保険の運用部分については保護の対象外となる可能性があります。また、高齢者への販売における説明不足や不適切な勧誘など、契約者保護の観点から様々な問題が指摘されています。保険会社の破綻時には、保険契約者への影響が深刻なものとなる可能性があり、金融サービスセクターへのより広範な混乱をもたらすリスクも存在します。
変額保険のトラブル事例と対策
変額保険に関する消費者トラブルは依然として後を絶ちません。ここでは、実際の相談事例から見える問題点と、トラブルを回避するための具体的な対策について解説します。
2019年度の相談件数と主な内容
2019年度における特定生命保険(変額保険・変額個人年金保険・外貨建て保険など)に関する相談件数は321件で、2018年度の601件から大幅に減少しています。相談者の特徴として、60歳代以上が全体の7割以上を占めており、説明不足や商品理解が不十分なまま契約するケースが目立ちます。
よくある失敗パターンと回避方法
最も多い失敗パターンは、商品性を十分理解しないまま契約してしまうケースです。「元本保証だと思っていた」「資産形成が目的で加入したが思ったほど増えなかった」といった誤認識による問題が頻発しています。また、高齢者への不適切な勧誘や、複数の契約を次々と締結させられるケースも報告されています。
これらを回避するためには、運用リスクや手数料について十分な説明を受け、理解することが重要です。特に、満期保険金や解約返戻金には最低保証がないことを認識する必要があります。
契約前に確認すべきチェックポイント
契約前には以下の点を必ず確認しましょう。
- 契約概要と注意喚起情報をしっかり読み、商品の仕組みを理解する
- 運用リスクと為替変動リスク(外国株式型や外国債券型などの場合)について説明を受ける
- 解約時の手数料負担や解約控除について確認する
- 自身の投資目的や運用期間が商品特性に合っているか検討する
特に重要なのは、契約前に「重要事項説明書」の内容を十分に確認し、不明な点があれば必ず質問することです。また、契約時には家族にも相談し、複数の目で契約内容をチェックすることをおすすめします。
加入判断のための重要ポイント
変額保険への加入を検討する際は、自身の状況を客観的に分析し、商品特性との適合性を慎重に判断する必要があります。以下の3つのポイントから、加入の是非を見極めましょう。
加入前の資産状況と知識レベル確認
加入前には、現在の資産状況と保険知識レベルを確認することが重要です。安定した収入があり、年収の25%以上が貯蓄できている状態が望ましいとされています。また、貯蓄残高が生活費の1年分以上あることも、運用リスクを取るために望ましい条件となります。
知識レベルについては、商品性の複雑さを理解できる程度の金融リテラシーが必要です。金融リテラシーが高い人の特徴として、リスクを正しく認知し、適切な金融商品を選択できる判断力を持っていることが挙げられます。
必要な運用期間と目標設定
変額保険は長期の資産形成を前提とした商品です。ライフプランに応じた目標額を設定し、リスク許容度を考慮したポートフォリオに基づいた特別勘定を選択することが必要です。また環境の変化や運用状況によって定期的な戦略の見直しを行うことも重要です。
運用期間は最低でも10年以上を想定し、その間の保険料支払いが可能かどうかを確認する必要があります。特に、契約から10年以内の解約時には高額な解約控除が発生するため、長期継続が可能な資金計画が必要です。
リスク許容度の自己診断方法
リスク許容度は、年齢、収入、家族構成、投資経験などから総合的に判断します。具体的な診断方法として、以下の項目をチェックします。
- 安定した収入があるか
- 年収の25%以上が貯蓄できているか
- 貯蓄残高が生活費の1年分以上あるか
- 借金がないか
- 投資の経験があるか
リスク許容度は時間とともに変化するため、定期的な見直しが必要です。特に結婚や出産、転職などライフステージの変化時には、改めて評価することが重要です。
まとめ
変額保険は資産形成と保障を兼ね備えた商品ですが、運用リスクや商品性の複雑さから様々な問題が発生しています。加入を検討する際は、元本割れリスク、手数料負担、運用実績による保障額変動などの問題点を十分理解し、自身の資産状況やリスク許容度を慎重に判断することが重要です。
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投稿者プロフィール

- 保険のライフアシスト|執行役員・営業企画推進部長
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球技は苦手ですが身体を動かすことは大好きで、中学・高校では器械体操部に所属。
30歳代までモーグルスキーの草レースに参加していました。
一昨年は10年ぶりにスキーを再開し、今年もコブ斜面を楽しんでいます。
更にSUPにも目覚め、春から秋は湖で癒やされています。
また毎朝のラジオ体操が日課となっています。
タイマーセットしたラジオで目覚め、朝6:30から身体を動しています。
頭もスッキリと目覚めますのでオススメです!
でも例えどれだけ健康に気をつけていたとしても、いつ誰の身に何が起こるかはわかりません。
事実私もケガを含めて10回もの入院を経験しました。
そのような経験も保険業界に身を置く一つのきっかけです。
保険はもちろん、暮らしとお金にまつわる様々なお悩み、どうぞお気軽にご相談下さい。
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